石崎公曹の奄美のことわざ
「お」から始まる言葉
粟 作らんや 荒れ田 開けれ
オ ツィクロンヤ アレダ アクェルィ。
ʔo cϊʔkuroNja ʔareda ʔakёrї
粟を作るよりは、荒れ田を開墾せよ
粟みたいな、つまらない穀物を作るよりは見捨てられた廃田にでも鍬を入れて米を作ったほうがよい。※前句は古文法。粟を作ろうよりは(意志推量)。
應ぬ 科なし
オーヌ トゥガ ナシ
oːnu tuga nasi
「はい」にとがめなし
「はい、はい、かしこまりました。」とさえ言っておれば、過失はない。とがめられたりはしない。本土の「はいに科無し」と同じ。オー[‘oHH]は目上に対する応答語で通鼻音。[qqoHH]となると目上に注意され訂正される。
オーヌカ イチゴアリバ チューヌ ヨーシ ナンナ
発音英語
和訳
解説
青野菜や いんが?んじ 見しんな
オーヤセヤ インガンジ ニシンナ
ʔoːjaseja ʔiNgaNzi nisiNna
青野菜は夫に見せるな
畑から採るときは、かさばって大量に見えるが、ゆでたり煮たりすると、ほんの少しの量になってしまうものである.。あれほどのものが、なぜこんなに減ったのかと夫にうたがわれることにもなろう。 本土の「青菜は男に見せるな」と同じ
青菜や 仇んじ 引かし
オハヤ アダンジ ヒカスィ
ʔoha’ja ʔadaNzi hiʔkasϊ
青菜(すこし伸びた大根やしゅんぎくの苗など)の間引きは、敵対する者に引かせてやれ
相手はにくしみをもっているから、乱暴にうんと間引きするであろう。間引きは、うんと間引けば間引くほどよいのだ。
思ゐ肝や 寝肝
オモイギモヤ ヌィギモ
ʔomoigimoja nϊgimo
一途に思っている心が、寝ているときの心
つまり、心に思いつめていることが夢の中にも出てくるし、寝言にもなってしまうのである。※毛吹草「思ふこと寝言に言ふ」と同じ。
オモウィバ エーティ スリィバ ウェーリュン
発音英語
和訳
解説
思て はまれば 難儀も 楽
オモティ ハマルィバ ナンギモ ダク
ʔomotϊ hamarϊba naNgimo daʔku
一念こめてがんばると、難儀な仕事も楽になる
思いを込めて一心に努力すると困難なことも楽にできる