石崎公曹の奄美のことわざ

「さ」から始まる言葉

サイすき上手ぬ 魚釣り上手

サイスィキジョーズィヌ イューツィリジョーズィ

saisiʔki-zjoːzϊnu ʔjuːcϊri-zjoːzϊ

小エビ(サイ[sai])をすくいとるのが上手な者は、魚釣りが上手な者

魚の餌にする小エビとりのうまい者は、当然魚釣りもうまい


坂 登りゅん 歌や 嫁に 為らし

サカ ノボリュン ウタヤ ユムィニ スィラスィ

saka noborjuN ʔutaja ‘jumϊni sϊrasϊ

坂をのぼるときに歌を歌うとするなら、嫁にさせよ

息がきれて苦しいから、自分が歌うよりは嫁に歌わせろ。


栄えて 八年、衰えて 八年

サカエティ ハチネン、オトロエティ ハチネン

sakajetϊ hacineN,ʔotorojetϊ hacineN

竹というものは、移植してから栄えはじめると、八年の間はさかんにタケノコを出し、繁茂繁殖していくが、衰えはじめると八年の間、徐々に繁殖力がなくなって、ついにはなくなってしまう。


下がりゅん 肩や 水ぬ はりゅり

サガリュン カタヤ ムィズィヌ ハリュリ

sagarjuN kataja mϊzϊnu harjuri

おちぶれて、がっくり肩が落ちているのに、さらに加えて、その肩に水がこぼれて哀れにもしたたり落ちていく

落ち目の人が、さらに哀れな状態になることのたとえ。本土の「弱り目にたたり目」「弱みにつけこむ風の神」に類する。


先 立ちゅて 他人ぬ 事 言うな

サキ タチュティ チュヌ クト イューナ

saʔki taʔcjuti ʔcjunu kutu ʔjuːna

先になって、他人のことを言うな

先頭切って、人の悪口を言うものではない。 どんなに嫌なやつのことでも、悪口を言う口火を切ってはならない。


先も 雨 後も 雨。

サキモ アムィ アトモ アムィ

saʔkimo ʔamϊ ʔatomo ʔamϊ

行く手も 来し方も雨

どうにも仕方がなく、ほぞを固めてゆっくり構えて雨の中を歩いている。あわてたところで仕方がないと、居直って落ち着いている人のたとえ。※「ナ アン チュヤ ~ チュン カッコ ジャガナ。 qqna qqaN qqcjuja ~qqcjuN kaqqqko zjagana.(もう、あの人は「先も雨、後も雨」とて居直っている恰好じゃないか)」などと用いる。


耕作 しゅん 時や 外 選べ

サク シュン トゥキヤ ストゥ エラブィ

saʔku sjuN tuʔkija sutu ‘jerabϊ

人にやとわれて多人数で畑の耕作をするときは、広い畑地の真ん中をさけて、外側を選んで耕作するがよい

外側の畑は耕作しやすいし、できあがりも見た目に広くよく映る。


サクシン ガフ

saʔkusiN gahu

和訳

解説


皿ぬ 水も 吹きば 波立ちゅん

サラヌ ムィズィモ フクィバ ナミダチュン。

saranu mϊzϊmo huʔkϊba namidaʔcjuN

静止している皿の水も、だれかが吹くからこそ波が生じるのである

本来、静かで平和なところ(なんの問題もないところ)に波風が立つのも、人の悪口をいったり、人をそそのかしたりする者がいるからである。


三、四月ぬ 投げカズラ

サンシグヮツィヌ ナグィカズィラ

saNsigwacϊnu nagϊkazϊra

旧暦三、四月頃は、つる草の類を投げ捨てておいても根づく

三、四月は野菜類の種まきによし、木の移植によし、挿し木によし、甘藷のつる植えによし、間違いなく根づく季節である。


サンジャク ハナレルィバ キャナ ミズィアティン キョラサ ナリュリ

saNzjaku hanarerϊba kjana mizϊ ʔatiN kjorasa narjuri

和訳

解説


三十男ねん 物言い付き 為んな 七月甘蔗なん 手 入れすんな

サンジュヰンガネン ムンイイツィキ スィンナ シチグヮツィウギナン ティー イルィスィンナ

saNzju-‘iNganeN muNʔiːcϊkϊ sϊNna.sicigwacϊ-‘uginaN tϊː ʔirϊsϊNna

三十歳にもなる男にものを言い付けたりするな。七月の甘蔗畑の手入れをするな。

三十にもなれば分別はついているはず、それなのにいちいち指図しなければ仕事ができないようでは、もはや見込みのない男だ。七月の甘蔗畑の手入れをするな。暑中の施肥はなんの効果もない。本土の「彼岸過ぎての麦の肥」「三十過ぎての子に意見」に相通じる。


産と 船くぶれや 恥や 無ん

サントゥ フナクブルィヤ ハジヤ ネン

saNtu hunakuburϊja hazija neN

お産と船の遭難は恥にはならない

お産はどんなにあられもない恰好をしようとも、はずかしいことではない。遭難もまた然り、生命にかかわることだから、どんなにあられもない姿になろうとも恥ではない。


算用 しゃーが 銭 足らじ

サンニョ シャーガ ジン タラーズィ

saNnjo sjaːga ziN taraːzϊ

さて計算はしてみたものの、なぜだか銭が足りない

いくら計算してみても、お金と合わない。計算にうとい人、数字に弱い人を風刺していう。

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