琉球語の美しさ
ヌヂャー<能芸>
『おもろさうし』にも「のさ」『混効験集』にも「のざ」とあって、琉球方言が本土方言と分かれて後、本土との文化交流によって、はいったことばである。芸・演技の意で、舞台での所作とか、宴席での芸・演技ももとよりいうが、この語が、民衆の中に深くくいこんで行ったと考えられる。動詞連用形と結合して熟語を作り、しきりにその所作をする意につかわれるようになった。ワレーヌヂャというと笑いふざけてばかりいることをいう。いつも洗濯ばかりつづけていることをあレーヌヂャともいう。面目をつぶしてばかりいることをちラーワイヌヂャ<面破り業>ともいう。小児が小便大便をたれながすことをヌヂャ スン<能芸をする>ともいうようになって、広く民衆の中に浸透して行ったようである。チャー ワかースン<お茶をわかす>が、かんたんなふるまいをする意を持っていると同じく、本土から入ったことばが民衆の中にしみこんで行った例である。