琉球語の美しさ

ムミー トゥバースン<籾を飛ばす>

稲のとり入れ時になると、ヤンメー<家の前の広場、ものほしに用いる>やヂョー<門前の通り>には稲をいっぱいほした。やがて稲はメースヂヤマー<千歯こき>にかけられて、ムミー<籾>をとる。
ニけーブフ<藁であんだ粗い大きな筵>に、籾はひろげられてほされる。その中にはほこりがたくさんまじっていた。風の吹き通しのよい木かげに行って、女たちは、その籾を持って行って、風に吹かせてほこりをはらうのである。
短い芭蕉着をつけてパちマー<手拭>をかぶった女たちが、ソーき<竹笊>にムミーを盛って、風が吹いてくるのを待って、たれ流して、そのプくイ<ほこり>を吹き払うのである。
風がやむと、女たちは、しきりにシーバちー<口笛>をする。そうすると、風はそれにこたえて吹いて来る。不思議に感じられるぐらい、風は、シーバちーにこたえて吹いて来るのである。まるで、風の神がいて、女たちの口笛でよろこんでやってくるような気がする。ムミー トゥバースン<籾を飛ばす>とは、そのことで、夏の風物詩である。

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