琉球語の美しさ

カーラ<瓦>

カーラという単語ひとつとらえてみてもよい。南国のあの強烈な日光にかがやいている瓦を見馴れた者と、赤い瓦も見ず、ねずみ色の瓦をみている者との間には瓦といっても感じがちがうであろう。沖縄に唐人の瓦工がわたり、人妻を我が妻にとせがんで、なまぎをひきさくようにめとったあの妻の哀切なる歌「瓦屋ちぢぬぶて 真南向かてみれば 島ぬ浦ど見ゆる里や見らぬ」がある。その悲劇を知っているものは瓦について更に、ちがった感じかたをするのであろうし、生涯瓦をかきつづけている画家大嶺政寛君などの瓦ということばは、我々の幾層倍の深さをもっているのである。そうしたことばの味は無限に深く、くみつくせない。

© 2017 - 2024 シマジマのしまくとぅば
〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1