琉球語の美しさ
ちルーダイ・ちーダイ<気おち>
重労働につかれきった百姓の姿が浮かぶ。あの炎暑のもとで働きつづけて、やっと畑に出来た作物が、台風一過、ひとたまりもなく吹き払われてしまう。百姓が台風後にてりつけるあつさに枯死した作物を手にとる勇気もなくて歎息していることばである。全くちルーダイであり、心身にはりつめていた心筋が、だらっとなってしまう。おそらく、つる野菜のつるも、酷暑に萎えて風にゆらいでいるのであろう。見るものすべてがちルーダイだ。孤島苦に喘いで来た島民はちルーダイの経験を何百年かくりかえして来た。しかし又、惰(だ)性(せい)で立ちあがっては又昔通りの農作をつづけている。ちルーダイしてもダレているだけで切れはしない。そこに沖縄島民の生活がつづいている。たぎる血潮もなくて、気力を失ったことをちーダイという。血もなく筋もなく、ぐにゃぐにゃになったことである。