琉球語の美しさ

へー<笥(け)>

新嫁は朱塗の衣類をいれる笥を必ず、嫁入道具として持って行った。新しい蚊帳と、唐枕があって、新婚のよろこびは、この素朴な笥にみちていた。どの笥も同じ形のものであった。今ではもう見られなくなってしまった。沖縄のどこかにはまだ、新婚の楽しい思い出をこめて、古びたこの笥が残っているかもしれないのだが、おそらくは、沖縄本島では、今度の戦争でこの笥も一箱も残らないのであろう。久米島などにはひょっとしたら残っているかもしれぬ。これなどももう若い世代の人々にはわからなくなってしまう。

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