琉球語の美しさ

ちャー<枷>

八十になる僕の親爺から消えつつあることばを少しでも聞きとめようといつも私は耳をすまして聞いている。先日もちャー<刑具のひとつ>ということばを聞きとめた。私の祖父は八十三才まで生きたのだが、暇があると手を後ろに組んでパたーきマイ<畑廻り>をしていた。部落のどの畑も注意しながら廻り、気がついたことは畑主に報告するので感謝されていた。或る時、畑を廻っていたら、自分の畑から芋蔓をぬすみ苅りているのがいた。近づいて「君!君!何時うちの蒲二(私の父)からこの畑を買ったのです!」と言ったら、きまりわるそうに立ち去って行った。こうしたこそどろは部落全員がお互いで取締まらなければならなかった。そのために部落間の罰札を設け、パッとー<法度>と称してその札をとった人は一日一銭をとられた。

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