琉球語の美しさ

サク<谷>

恩納、金武方面では、谷をサコ〔sak’o〕といい、今でもo母音を残している。今帰仁では、谷はマたーといってもうサクは、普通名詞としては用いられなくなっているが、地名にサクが残存している。
北山城址の平郎門からはいって、右側の谷間がある、カーサクという。川谷だと言われているが、川らしいものはないので、はたして、カーが川かは疑問だが、サクが谷を意味していることは、その地形を見ればあきらかである。
字平敷部落の東のうンビーへの分れ道にまだ行かない手前のくぼ地一帯はくリンヂャフという。越地あたりでは、クリンヂャホという。
現在は、平坦な道路になっているが、大正の頃までは、谷間になっていて、石橋の下から水が流れて、下の竹藪へ流れていた。ここが谷と称せられたのであろう。クリンはどういう意味かよくわからないが、ヂャフはサコで、サホはいまだに、o母音を、金武、恩納と同じように保っているのであろう。謝名の南上の方に迫田という地名がある。谷間の田の意味の地名ではなかろうか。
▶原稿に(一九八一・六・三)の記述あり

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