琉球語の美しさ

ティー ウリルン<舞の手が美しくたわむ>

おもろに「ておれ」ということばがある。「天降り」と解釈されているが、「手折れ」であろう。若い学者は、ティー ウリルンというと、負傷して、手が折れるという概念しか浮かばない。どうしても「ておれ」が「手折れ」と結びつかないらしい。
子供の時から、祝宴の座でよく踊らされた。そこでも〝あの人の手はよく折れる″ということばを聞かされた。しなやかに手がくねって優雅なのをいうのである。とくに沖縄の舞いは、手先をつかいしなやかにくねらせる。日常よく聞かされたことばである。舞いがもう生活体験からはなれた若い学生にはティー ウリルンなどということばは負傷して手が折れる意味しか持っていない。古典をとくとき、われわれも同じようなへだたりを持つようになって、本当の理解はできないのではなかろうか。身についたものは大切なものだ。時がたつにつれて、絶えず衣がかわって行くように、肌につくものも変化して行く。

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