琉球語の美しさ

ユダーち〈胸かけ〉

女が首からかけて胸腹をおおうもので、大正の初年頃まで、今帰仁でも老人はかけていた。国頭村地方を旅行したとき、昭和の頃まで、老人たちの胸にかけているのが見受けられた。与論の立長を訪ねて、故老に会ったとき、与論でもまだ残っていてユダチといっているとの話を聞いたことがあった。このユダチという語も、国頭から、海をわたって、奄美大島にひろがっていたにちがいない。おそらくは、沖縄全島のもともとはひろがっていて、そのものがなくなるにつれて、消えて行ったことばにちがいない。それがただ胸腹をおおうのみの用途であったものか、保健のためのみだったのか、他にしれない意味があったのかともうたがわれる。

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