琉球語の美しさ
ユー〈水〉
「ゆ」に水の意があったと考えられる。しかし、ゆとみじ〔medu→mëdu―mïdzu→mïdzï―mi-dʒi〕とどうちがったか、あきらかにしがたい。
「源(じん)河(か)はい川や、うすかゆかみじか 源河みやらびぬ うすでどころ」という琉歌がある。「ゆかみじか」がよく問題になり、「良(よ)か水か」ではないかとの説もある。「ゆ」を湯と感じをあててあるが、湯ではなかろう。「ゆ」は水の同義語だと思われるが、「水」と「ゆ」がどうちがっていたか、あきらかにしにくい。
船の「ゆあか」はユーといい、それを汲みとる道具をユートゥイという。水肥をユーゲーといい、水肥桶をユーゲーフきという。
死者が出たあと、喪家に持ってゆく、うすい粥をユーといっていたが、それも、同じ意味のような気がする。久高島にも、サルマーユー〈米をといておかゆ状にしたもの〉がある。
『全国方言辞典』に「ゆこげ 水垢 鹿児島県肝属郡」「おてのゆ 手水。おちょうず。仙台(浜荻)」とある。東北でも用いられているところからすると、古代は日本にひろく用いられていたような気がする。