琉球語の美しさ
うヌペー〈礼拝〉
うンペーともうヌペーともいう。もともとン〔N〕になく必ず母音をつけて〔ni〕とか〔nu〕とした。紙は簡から来たと言われる。おもろでも天は必ずテニと読み「テン」とは読まない。今帰仁方言では大根はデーくニである。
法事にはまるいもちをひとつに重箱につめて、肉や昆布、豆腐をいれて行く。持ってきた全部を仏壇の前に出して広げる。お餅は上になる。蠅がいっぱいたかるので、木を切って来て一人はそれで蠅をはらう。やがて各自持ってきた紙銭もあつめられて焼く。それらのことがすんだ後、庭に座っているものもヤーヌくヮー〈離れ〉にいるものもいっせいに位牌にむかい、七度立ち七度拝手、地に手をついて拝する。これをうヌペーという。子供のときは大人の間にはさまってまねる。大人のまねをするのがおかしくなり、友達とくすくす笑いながら大人のまねをしたことがある。参列者全員が再び手をつき七たび立って手をあわせる。これはおそらく中国の風習がつたわったであろうと察せられる。もう一つはミミグリーである。左の手で右の耳をにぎり、右の手で左の耳をにぎり、うやうやしく伏してあやまるのである。大人にはもうみられなかったが子供はあやまるときはミミグリーをする。しかし、どこかおどけたところがある。心からひらあやまりにあやまっているのではなかった。これは子供のまねごとだけではなさそうで、ひらあやまりにあやまるときは大真面目にやった動作ではなかろうというような気がする。